【完全保存版】閾値走(LT走)の真価とは|スピード持久力を最大化する鍵

サブ3.5を目指すランナーにとって、最大の壁の一つが「スピード持久力」です。単なる持久力でも、スピードだけでも不十分。求められるのは、ある一定のスピードで長時間走り続けられる身体です。

この「スピードを持続する能力」を効率的に向上させる最も科学的な練習法が、閾値走(LT走)。実業団選手やトップアマランナーが積極的に取り入れているこのトレーニングは、目に見えて成果が表れる「再現性の高い」練習法として知られています。

閾値走(LT走)とは?

まず、閾値走の「閾値(Threshold)」とは、乳酸性作業閾値(Lactate Threshold, LT)を指します。これは、運動中に乳酸が体内に蓄積しはじめる境界点であり、LTを超えると筋疲労や動作効率の低下が加速度的に進行します。

LT走とは、この閾値に限りなく近いペース(またはやや下)で一定時間走ることで、体が乳酸を処理・再利用する能力(バッファ能力)を向上させるトレーニングです。

この結果、ランナーはより速いペースを「余裕を持って」長く維持できるようになり、レース後半での粘り強さに直結します。

なぜLT走がサブ3.5達成に不可欠なのか?

フルマラソン3時間30分のペースは、キロ4分58秒。このペースを「巡航」として維持するためには、LTの位置がキロ5分以上である必要があります。

LT走を繰り返すことで、その乳酸閾値が少しずつ速いペースにスライドしていきます。結果的に、以前なら「苦しい」と感じていたペースが「余裕」に感じるようになるのです。

これはVO2max(最大酸素摂取量)を引き上げるインターバルとは異なり、「レースの実用速度域」での持久力強化に特化しており、マラソンで実際に結果を出すためのトレーニングです。

LT走の具体的なやり方

● ペース設定

  • 10kmレースペースよりやや遅め(10〜15秒/km)
  • 感覚的には「きついけどなんとか維持できる」強度(RPE 7〜8)
  • 心拍数で言えば最大心拍の85〜90%

● 距離・時間

  • 初心者〜中級者:20〜25分(連続走)
  • 上級者:30〜40分、または8〜10km
  • 疲労が強い時は、10分×2〜3本(レスト2〜3分)でも可

● 実施頻度

週に1回がベース。ハードなポイント練習やレースの前後は避け、回復日とセットで実施するのが理想です。

LT走のメリット

  • 乳酸耐性の向上:乳酸蓄積の耐性が強化され、後半の失速が減る
  • スピード持久力の強化:「速いペースで粘る」能力が身につく
  • LTの向上:閾値ペースが引き上がり、レースペースが楽に感じられる
  • 実戦に近い刺激:マラソンの実戦的な速度域をターゲットにできる

僕の実体験:LT走でサブ3.5を突破したプロセス

僕自身、別府大分毎日マラソンに向けた12週間の練習期間において、毎週火曜日を「LT走の日」に設定していました。最初は4:45/kmで20分間走るのが精一杯。しかし、6週間後には4:35/kmで25分を余裕をもって走れるようになりました。

この変化は明確に心拍数にも表れ、同じペースでも心拍数が10拍程度下がるようになったのです。これは、身体が乳酸を処理する能力を高め、効率的な有酸素代謝が可能になった証拠です。

実際のレース本番では、30km以降もペースがほとんど落ちず、「あと10km、もう一度同じLT走をしてる」と思えるくらいの感覚で、最後まで走り切ることができました。

LT走の注意点

  • 疲労管理が重要:LT走は中強度のため、疲労が蓄積しやすい。ジョグと組み合わせて疲労抜きのバランスを。
  • フォーム崩れに注意:LTペースでのフォーム維持は、フルマラソン終盤の粘りにもつながる。
  • 客観的指標の導入:心拍計やパワーメーターを活用すると、強度設定を正確にコントロールできる。

心拍計を使ったLTゾーンの見極め方

最大心拍数の85〜90%が一般的なLTゾーンと言われています。例えば、最大心拍が180の人なら、153〜162bpmがLTゾーンです。

ランニングウォッチで心拍数を確認しながらペースを調整することで、「LTの強度に収まっているか」を常に把握しながら練習できます。特に、LTペースは主観的感覚とズレやすいため、初心者こそ客観的指標を活用しましょう。

まとめ|LT走で「速さ」と「粘り」を両立せよ

LT走はマラソントレーニングにおける中核的な柱です。ただ速く走るのではなく、速さを「持続」する力を養う。これが、フルマラソンにおける本質的な強さにつながります。

週に1回、LTペースで走る時間を設けるだけで、数週間後には確実な変化を実感できます。走りながら強くなっていく感覚を味わえる、最高のトレーニング。

サブ3.5を目指すあなたにとって、LT走は単なるオプションではなく、必須科目。ぜひ今週から取り入れてみてください。

そして、走りながら自分の「限界点」が少しずつ後ろへと押し下げられていく感覚を、ぜひ体感してください。

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